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永遠の伯爵へ、祈りを込めて

  • 2009-05-20 (水) 23:49
  • comic

漫画熱がまったく引かず、二ノ宮知子の「天才ファミリーカンパニー」とか今さら読んでウホっと思ったりしています。あと楠本まき選集とか有閑倶楽部を再読したりとか。これね、会社の近所にまんがのレンタル屋さんができたのが敗因ね……つい長年スルーしていた「ゴッド チャイルド」を全巻読破してしまいました。

そんなわけで、今日は私と伯爵カインシリーズの思い出について書きとめておこうと思います。結末に関するネタバレを含むので、続きで。

出会い

私とカインシリーズとの出会いは、15年くらい前まで遡ります。マジです。当時私を同人世界に引きずり込んだ友人がですね、オタク少女の例にもれず由貴香織里やらCLAMPやらが好きで、やたらカインシリーズを推しててね、読んでみろっつって「カフカ」を貸してくれたのね。それが最初です。その後遡って「少年の孵化する音」も借りたのかな、漫画に免疫がなかったころなので、ゴシックなのが珍しかったのと、あとホモ的なものへの目覚めと前後していたため、リフとカインという、あの絵に描いたような主従関係がですね、すっかり刷り込まれてしまってですね、思春期に読むものは本当に選ばないといけないよ!!

しかし、ここでハマったりはしなかったんですよ。まあゴシックとか耽美とかお前、好きに決まってんだろ!! という、逆ギレにも等しいモエは常に根本にあったわけですけど、ハマらなかったんですね。ちょうど忍者ものとか歴史とかガンダムに流れつつあった時期で、その後はジャンプだから、もう全然接点がなくなっていった。日記とかでもほとんど語ったことないと思います。

長いブランクと誘惑

ただ手元にずっとコミックスは持ってたわけで、「忘れられたジュリエット」と「少年の孵化する音」ね、カインシリーズの最初の二作ですね。そこから「カフカ」「赤い羊の刻印(全2巻)」とオムニバス形式の作品が続いて、あの有名な「天使禁猟区」に繋がるという。だからカインシリーズの最初の二作って言うと、絵も話もちょっと古臭い。今ほどのキレもない。そんなん、私のことだからどこかで手放しててもおかしくなさそうなもんなのに、売りも捨てもしないで延々と持ち続けているわけです。たまに読み返したりしてね。ちなみに、「カフカ」以降を持ってないのは、なんとなく買う機会がなかったってだけです。(立ち読みかなんかで何回か読んではいた)とくに深い理由もない。こういう不思議な、つかず離れずの情でもって愛で続け、約15年が経った。

それがふと先日立ち寄った古本屋で、「カフカ」「赤い羊の刻印」が100円棚に並んでるのを見つけて、あー懐かしいなと思って買ったのね。ついでに、そういや続編出てたなと思って、この続編というのが、「天使禁猟区」の完結後、伯爵カインシリーズに決着をつけるべく連載された「ゴッド チャイルド」なんですけど、ちょっと調べたら8巻もあるのかと。ずっとスルーしてたし、もうここまで時が流れると、終わってほしくなんかないわけで、手を出すべきかどうかけっこう悩んだんですけどね、まあ結局レンタル屋で誘惑に負けたんだ。

戯言

読んでみて思うけど、15年とかホントに長い。私、初めて読んだときは主人公のカイン(17歳)よりは、異母妹のマリー(10歳)に近い気分で、カインお兄様素敵とか思って(痛い!)読んでることもしばしばだったんだけど、今読んでみたら、いつの間にか私カイン通り越して執事のリフと同い年になってた。すごく切なかったです。というか、カインがかわいく見える、もはや母性的な情です、かつては思慕だったはず(痛い!)なのに。リフもすっごい年上でかっこいいとか思ってたけど、今ではお前もまだまだ幼いなとか思いますしね、悔しい、大人になんてなりたくなかった……! 

「あんたが信じていればピーターパンはやってくるなんて言うから、夢見がちなあんたのキティは空を飛べると信じ込み、窓から落ちて死んだんだ!」(一部曖昧)

もう懐かしさで記憶が蘇りまくる。「靴ひも結べ」とかな、あったな。今回レベルアップして「お前の淹れた紅茶以外飲まない」が出ました。やったぜ! オヤジ超狂ってたよな、とか。Dr.ジザベルは全員サービスのドラマCDかなんかでみきしんだったよね、とか。ああやっぱりね、と。肉体的には12歳のまま年をとらないカシアンとかね、今見ても誰より作者の妄想の激しさがピーターパン状態でぐっとくるご都合主義設定の数々、でもこれこそが耽美系妄想乙女だろ! という、堂々たる主張ね。ああもう言うよ、好きさ! ガチな妄想全開設定、仕方ないさ!! 時代考証も背景もリアルで素晴らしい「エマ」と是非一度対比させてみたいところですが、でもいいんだよホントに、実際、由貴香織里にまともさとか求めてない!! これはアリス、私の中の鏡!!

由貴香織里と日本語

思春期に変なものに手を出すとこうなってしまうという好例ですけど、いや、今読んでよかったと思う、今この年齢で読んでよかった。だってさ昔は全然気づかなかったけど、由貴香織里の日本語、すごくおかしい! たとえばこれです。

ですが正直、面前での私への執拗につきまとう御様子にはウンザリしていますが……

なんだこれ! どう校正したらいいか分からんけど、でも、でもね、意味は分かるじゃないですか。もう余裕で押し切られるじゃないですか、「つきまとわれて鬱陶しい」という本質がしっかりビンビンに伝わってくる。「正確さ」が必ずしも重要ではなくなってる。要はこの、押し通せるだけの勢い、ノリ、世界観の構築!! これができる人なので、他が無茶でも由貴香織里は長く読まれてるんじゃないかなと思いました。こういうことを考えるには、15年前では若すぎただろうし、さらに時間が経つと「ダメ」で終わらせそうだから。まあ今でよかった。

ついでに、この前ロンドン実際行ったから、以前より分かる建造物とか多くなっててちょっと感動しましたね。あーこのシルエットはタワーブリッジだよねとか。というか出てくるものが全部観光名所ですね! 大英博物館はもっと笑えるところだぞ! キドニーパイなんか掃除してないトイレみたいなアンモニア臭がすると思うんですけど、カインもマリーも平気で食ってた。ラブ、アイラブファンタジー!!

泣くしかない

という、懐かしさと悲しさと愛しさと切なさと心強さが混じったようななんだか変なテンションで読み進めてたんですけど、ほんと辛い、この展開、結末。ぶっちゃけ由貴香織里の手癖というかさ、「少年残像」とかもね、持ってますし、口では嫌いと言いながら本当に嫌いだったらとっくにカインなんか忘れてらァ、そういう歪んだ愛を残念ながら私も嗜みますから、何やるつもりか予測はついたんだけど。だから読みたくなかったんだよ、完結してほしいとか全然思ってなかったよ! 「ポーの一族」でエドガーを信じ続けた魔法使いみたいに、この世界のどこかに毒の伯爵カインが居て、怪しいお茶会とかしてるって、そう信じ込んでいたかったですよずっと!!

涙なしには読めやしない、いや実際はあまりの展開のアホらしさ(←愛ゆえ)に半分ポカーンて口開けてたけどさ、今すごく悲しいに決まってる。あとがきの言い訳すら悲しい気分で読んでる。由貴香織里私に謝れとすら思っている。嘘です。だからとうに由貴香織里の手口は分かってんだよ、4巻くらいからあからさまにそういう流れだったもんよ、でも割り切れないこの気持ち、死亡フラグ、無視してええんやで、あんたゴッドチャイルドやろ、神に愛された神の子カインやろ……! まあ本当は名づけ親という意味のゴッドファーザーの対としてある言葉らしいですけど、ゴッドチャイルド。へー。それはいいからカイン、私のこの涙はどこへ落とせばいいんですか、そのうちビームになるからな、くそ、さすがは白泉社、さすがは「花とゆめ」だ、完敗だ、花もゆめもな、どっちも十分楽しませてもらったさ、アデュー……。

今はもう、15年の月日と、この結末を知らなかった頃には戻れないという、なんか甘ったるいクソナルシスティックな自己満足と、由貴香織里この野郎(←愛ゆえ)。そんな思いでいっぱいです。女の子ってなんでできてる? 花とゆめと思い出でできてんのさ。それだけじゃお腹がすくけどね!

いつかもう一度イギリスへ行ったら、エドガーとバンコランとそれから伯爵カイン・C・ハーグリーヴスを探すよ。
さよならさよなら、そしてありがとう、支離滅裂で愛しい、私の15年のピーターパン……!

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