- 2009-07-29 (水) 12:23
- essay
今年も夏前半の闘いが終わりました。たぶん。というわけで、去年に引き続き、作業をふり返りながら鬱陶しい自分用メモを残しておきたいと思います。ちなみに、去年の冬が抜けてるのは、冬は落選してたからです。
今年のスケジュールふり返り
スケジュールを短縮するためには、ちゃんと問題点を洗い出したほうがやりやすいはずなので、毎年やってる……でもこれブログで書く必要はまったくないし、商業でもないし、一切誰の参考にもならないと思うので申し訳ないのだが……。
- 6月下旬~7/4 ネーム
- 7/5~7/19 下書き、ペン入れ
- 7/19~7/20 表紙作業、本文デジタル準備
- 7/21~7/27 トーン・写植
- 7/27~7/28 ノンブル打ちなど総仕上げ
- 7/28 入稿
(2009年分、約70枚)
補足すると、ネームは実際の作業時間が15時間くらいなので、上記の期間中がっつりやったわけではないです。でも、下書き以降はがっつりです。仕事の関係で外泊した1日を除き、飲み会や遊びもすべて断って土日も全部使いました。じゃないと、70枚は終わらないということが今回判明しました。
ちなみに去年の日程は以下です。ただ、去年における「ネーム」は、原稿用紙に直接描いていた落書きなので、ネームのうちに入らないと思います。去年の私は一体何やってたんやろ……今もアホなので昔はもっとアホだったということに違いありません。毎年毎年恐ろしいです。
- 7/7 かなりなんとなくネタ出し開始
- 7/14 ネーム着手
- 7/20 ネーム終了→ペン入れへ
- 7/27 ペン入れ終了→トーン作業へ
- 7/30 トーン作業終了、台割・ノンブル入れ・写植見直しなど
- 7/30深夜というか7/31(〆切当日)明け方入稿完了
(2008年分、約40枚) トーン3日だったとかどういうことだ。
でも、去年の本を今見ると、やっぱりそれなりの、かけた時間ぶんの出来だなあと思います。(細かいツッコミは散々やったので割愛)だって「描いてる」のが約10日間だもんね、それはそれなりのしかできない。と、今年の原稿を終わらせてみて思うわけです。今年は内容はともかくネームを作って、それに沿ってひたすら描きましたし、自分の中では最速くらいの気合いでいたんですけど、それでもペン入れ(エンピツ主線まで)の作業は14日くらいかかってる。デジタル作業ももうこれ以上は削れないと思うくらいギリギリでやって、7日かかってます。(うち4日は土日も含め丸々一日使っている、一日のうち約15時間作業)
そのような感じでやってはじめて、まあでもこれはこれでがんばったんじゃないかなと、自分で思える程度になったようです。「もう見たくない」とも毎回思うんですが、今回はなんというか、ストーリーや演出について言い出したらキリないねんけど、作画はがんばったよなと。相変わらず下手ではあるんだけど。なんかどのコマも投げずに描いたなーという充足感があります。ほんとしつこいけどこれ作画だけやで。
まあやっぱりネームは大事ですね、というかネームの段階でもう少しストーリーのおかしさとかに気づいていたら今こんなアヒャーってならずに済んだのだろうが。やっぱりよく分からない、自分の嗜好が。
今年のデジタル作業内容
総合的な話
デジタル作業は去年とほぼ同じやり方でやって、選択範囲を作ってからひたすら塗る、の繰り返しでした。去年とちょっと変えたのは、ねこまたぎくらぶさんのブラシを多用したこと、お絵描きの小技さんのカラーパレットを使ったこと、フォトショにデフォルトで入ってるブラシや色見本を削除しまくったこと、あとは国内外のサイトをまわってフリーのパターンやシェイプを集めたことなど。
以下は去年から大きく変えたところです。
写真の加工で背景トーン
ほか、アナログ時代で言う風景トーンみたいなやつをいくつか自作したのも新しい試みでした。何これって出来ではあったけど。とくに空と木のトーンは重宝しました。下手なりに空とか撮っといてよかった。でもって、自分専用背景を作るときのコツですけど、「コントラストは低く、色は明るめ」というのを発見しました。私は筆圧が弱く、補正をかけても描線が薄いので、陰影のはっきりした背景を持ってくると人物が宝探しみたいになります。ゆえにコントラスト低め、明るめ。
ただし、写真をグレースケール化して「明るさ・コントラスト」などで調整するだけだと、単に薄ぼんやりした不思議画像になってしまったため、これを回避するために思いついたのが、「色域指定で暗色を抜き出してグレーで塗りつぶす」みたいな感じのこと。ややこしいなこれ……。なんというか、「コントラストを下げる」つまり機械的に色幅を狭めるというより、もっとも暗い色ともっとも明るい色の周辺色をそれぞれグレー寄りにまとめて置き換えるだけのほうがそれっぽいという。元画像の色数が少なければポスタリゼーションでも大丈夫ですが、ポスタリゼーションは極端に色を減らすので、そういうときには色域指定が役立ちました。自分の中では発見です。
あとは、それを引き伸ばしたりぼかしをかけた上でポスタリゼーションとかで、無限の可能性が。まあアナログ用の背景トーンと同じで使えるシーンは限られてるんですけど、走る車の窓を表現したいとか、Tシャツの柄に使いたいとか、一枚の画像から何パターンものアレンジができ、無尽蔵に使えるっていうのは助かりました。アナログ時代を思い出すと泣ける。
あ、そういえばこの作業で得られた発見がもうひとつあって、私は道路や空間なんかは奥行きのある構図しか撮らない癖があるらしい。道路は正面に伸びていく構図、建物の中とかも遮蔽物のないものを好むようです。塀や花壇などを正面から見た写真が本当に一枚もなかった。何千枚と撮ってるのに! 漫画の背景には「歩いてる人を横から見たとき用」の風景もあるほうが便利ですから、今後はどん詰まりっぽい写真も撮っておきたいと思いました。
ハーフトーン化しない
きっぱり二値化できるような鉛筆の主線にしようと最初は思ったんですが、筆圧や描き方の癖はそうそう変えられません。1年くらい練習しないとたぶん無理。というわけで、塗りの部分をハーフトーン化するのはやめました。やはり線画が負けるのがどうにもしっくりこなかったのです。
ただ、二値化の利点は、「ベタを作れる」ことだと自分は思うので、だってベタがあると画面が締まって見やすいじゃないですか、でもそもそもハーフトーン化にすら負けるような線画でベタ増やしても塗りにくいし浮いちゃうしでいいことがなく、なんとかして「締まった画面」を作れないかと考えた結果、「エッジのぼけたブラシや広範囲のグラデーションはなるべく使わない」とか、「80線以上のグレーも積極的に使う」とか、あとは「線画段階で顔のパーツがくっきりしていなければ濃色で補う」など、苦しまぎれの工夫に行き着きました。これにより、コミックフォントが浮かないくらいにはなった。まあこの辺はまだまだ追究の余地ありと思います。
背景素材はコントラスト低いほうが引き立つし、メインの絵はベタがあったほうが見やすい、どちらも基本かもしれないのに、今さら実感しています……まさに実学です。
屋外と室内の影のでき方
これもおそらく基本中の基本だろなとは思うんですが、分かったのでメモります。光源が強ければ強いほど、影も強く描くのがそれっぽいんですね。やっと気がつきました。もう直す時間もないので次回以降の課題でもあります……。気づいたきっかけは、今この塗り方だと室内と屋外あるいは昼夜どっちなのか分からんやん、って思ったことです。今まで短い話しか描けなかったので、そもそもそういう描き分けが必要じゃなかったってのも一因ではある。
しかし、強い光源に対して影を強くし過ぎると、またしてもコントラストが上がりすぎて線画が負けるというジレンマに行き着きます。困った。線画を強く描けばいいのかと思うけど、そうじゃない漫画家さんもいるし、むしろ光源が強い場合は主線は弱くなるはずとか思うと蟻地獄みたいになって、とりあえずいろんな漫画を観察したところ、シーンの切り替えでうまく時間や場所を意識させたあとは基本の影しか描かないっていうパターンが多いんですね。(描く人もいる。あと、常に背景が暗い松本次郎とかもいる)
うーん、ここは非常に難しいというか、難しいけどなんとかしたいなと思ってるところです。私の絵は人物のみで絵になるような絵ではないので……。なのに顔を描きたがる癖もなんとかしたい。
その他次回以降に向けて
「ネームを作る」という基本は学べたので、今度は「ネームを練る」という工程を持つようにしたいです。演出が、演出が下手過ぎるんや、毎回同じ話描いてるみたいになってきてる。ただ、これに関しては「読者は毎回同じ話が読みたくて同じ作者を選ぶ」という理論もあるので、極端に変えてもいかんのだろうけども、そもそも「読者」っていうほど読まれているわけではない、弱小同人なわけですから、何とかしたいですね。
具体的には、コマ割にもう少し規則性を持たせたいです。私、漫画の技術と呼べるものはほとんど何も持ってなくて、コマも見よう見まねだからすごくなんか、ばらつきがひどい、ひとつのシークエンスですら。で、余白が全然使えてない。ジャンプなど少年漫画は余白を嫌うところがありますけど、BLやサブカルでは余白のうまい人がうまい気がするんですよね、あれは憧れます。ああいうことができたら、無茶な演出に走らずに済むし、読みやすくなるんじゃないだろうか。もっとたくさん読んで研究したいです。(どうなるものではなくても、研究はしたい)
あとは台詞の研究。よしながふみみたいな大きいフキダシにがんがん文字列を流し込むやり方もあるし、オノナツメみたいにほとんど無言で進めるやり方もあって、あれは絵とかストーリーとかのバランスで最適な何かがあるんだろうなとは思うんですが、自分の着地点が分からないのです。
というかもう漫画に対して何もかもやっと本気で考え始める私……。なんで今さらと思うんですが、私は絵よりは小説が好きでやってきたこともあって、「絵は下手だし漫画もストーリー重視でいきたい」みたいな小生意気なことをずっと言うており、その考え方だけならいいのかもしれんけど、むしろ絵が下手であるという言い訳に甘えてしまってストーリー(演出)に対する努力を怠っているのだという、暗黒の真実に気づいたからです。絵が下手でも、下手なりに演出できるし、顔が引き立たないなら別の構図を考えればよかったんだよなー。描くのが嫌いではないということは上手に描けるほうが嬉しいはず、なので上手くはなりたいです。いやーネームのみの50本マラソンするとかしかないのかな。←だいたいが力技。
体調管理
今回は確実に腰と肩を痛めました。これは、暑いとPCが危ないので冷房をかけっぱなしにして、机もないので床に直座りで寒さに震えながらペンタブを膝に抱えてやってたという、最悪の作業環境によるものです。ただ、今机を買っても、来年くらいに引越しするかもしれないというのがあって、どうしようもなかった。
これらに加えて、タブレットもA4サイズでけっこう重量があるものを膝にのせているわけで、腰と肩がやられるのはもう予想できたので、入浴剤やサロンパスや、栄養ドリンクや大判のタオル、くつ下、クッションなどを利用し、少しはマシになるよう気をつけてみました。とくにサロンパスの爽快さには恐れ入りました。最後のほう、両肩と腰と腕と合計5枚くらい貼ってた。それでもマシだったという程度で、まあ昼間の職業病もありますし病院送りになってもおかしくなったところ、この程度で済んだと思いたいです。明日からは整骨院とヨガに通ってコミケ当日までに治す予定。
栄養面は去年ほどではなかったです。ここ数ヶ月でお弁当作りしたりしたので、冷凍スキルが上がったんだと思う。しかしまあ若干痩せはしますね、間食も大食いもしなくなる。脳がエネルギー使ってるとお腹がすく、というのも本当にそうだろうとよく思います。しかしながら最後の最後、〆切前に原作の新刊が出たりして、それ読んだのと〆切前のテンションとですごく胃がきゅーってなったときは、一時的に食べものを受けつけなくなったりしてました。食べないでいると、脳が活発に動かないし、筋力も落ちてますます腰には悪いので、もうちょい食欲をもたせるようにしたいなー。
以上、2009年夏原稿ふり返りでした。
- Newer: 命ある限りMW映画版にはツッコミ続ける
- Older: 数週間の孤独
Comments:0
Trackbacks:0
- Trackback URL for this entry
- http://dutch-roll.com/essay/282.html/trackback
- Listed below are links to weblogs that reference
- 人間の体は精密な機械です from dutch-roll.com