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essay Archive
生命力を燃やすと声が出なくなる
毎年毎年、よくも飽きずに同人誌を作り続けるものだと思います。そこに意味はあるのか? 我なにゆえに在りや? とメタフィジカルに問い続ける日々が終わりました。日々っつってもすごく短かったですけど今回。去年の夏、今年の夏に続き、今回もふり返りを行おうと思います自分自身のために。ちなみにアリストテレスの「タ・メタ・タ・フィジカ」は早口言葉みたいで面白い。実物を読んだことはありません。
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人間の体は精密な機械です
- 2009-07-29 (水)
- essay
今年も夏前半の闘いが終わりました。たぶん。というわけで、去年に引き続き、作業をふり返りながら鬱陶しい自分用メモを残しておきたいと思います。ちなみに、去年の冬が抜けてるのは、冬は落選してたからです。
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漫画のネームという工程を考える
夏の〆切に向けて漫画を描いていると突然だらけた文章に逃避したくなって結果的に原稿中は日記が増えるmatonoですこんばんは。
ところでみなさん、ネームはきちんと派ですか。文章だけとか、コマ割だけとか、やり方はいろいろあると思いますが、とりあえず最後まで絵コンテ的に流れを決めてから描きます? 私はもーこれが苦手で、というか時間的にいつも焦りが先にたってしまい、ネームと下描きを一緒にやるという、つまり一発描きで描き進めていってしまうという悪癖があります。そして結局1枚1枚悩むので、逆に時間がかかる、追い詰められるしクオリティも落ちるしで、まったくいいことがありません。
そこで今日はネームという作業工程について考え、ネームが絶対有益であると自らに認識させたいと思います。
というか、そもそもなんで漫画にネームとかの作業が必要なのか、とか考えたことあります? 私はある!! どうでもいいところだけ力強い!! これ追究してるとけっこう面白くて、なんていうか「漫画のテクニック」とだけ考えてると行き詰るんだけど、「作業効率化」とかの方法論だと思うと何かがひらめいたりします。たとえばネームというのは仕様書である、的な。漫画の作業工程って、数が多いじゃないですか。そんで、だいたいスケジュールが決まってる上に、基本的に後戻りできないじゃないですか。(できなくはないけど、おそらく落とすことになる)そうすると、なんだかこう、システマティックに管理できそうな気がしてくるわけです。つーか、漫画ってあらゆる創作行為の中で、「作業」の占める割合がわりと大きいよね。だからアシスタントを雇って分業できるんだろうし。
などと考えていると、シミュレーション上では少なくとも、ネームを作ったほうが効率は上がると思われたわけです。「ネームができない限り次の工程にいけない」という縛りをクリアするには、ネームを描き上げる、というゴール(マイルストーン)1個だけあれば十分なんだけど、「ネームと下書きを気の赴くままにやっていく」というフワっとした感じになると、ゴールが明確じゃないので、ある意味、ページ数と同じ数だけ何かをクリアし続けないといけないし、その都度作業が止まることになる。同じ作業は連続すると効率が上がるので、工場等でも「ラインで」製造されるイメージなんだけど、ネームと下書きをいっしょにやったりすると、そもそもライン自体ない、みたいな。
なんかもう、明らかにネームだけ先に仕上げたほうが効率いいやんけ、という感じに落ち着き、まずはってことで今回の夏コミ原稿は思い切ってネームを描きまくりました。60枚描くのに実働時間で言うとだいたい15時間くらいでした。コマ割りに悩む時間を入れても、1時間あればまあ4枚くらいは進む計算です。もちろん素人ですから、自分が見直していいじゃんと思えばもう作画に入っていいわけです。すると、作画工程では次に何をやるか悩まなくていいので、「筆が完全に止まって逃避する時間」を、可能な限り減らすことができるはずです。
一応比較として、ネームと下書きをうだうだやった場合ですけど、いくら脳内に構成があるといっても、次のネームを思いつくまでの時間とか、精神的なイラつきとかが加算されるので、あんまりこう、時間の予測ができない。ので、全体作業量の計算といったら、ものすごくバラつきのある量を平均して出さないといけなくなり、予測の精度がブレてしまいます。ネーム工程をきちんとこなせば作業時間の予測がつくのに、焦ってこの工程を飛ばすと〆切まで延々と不安が続くわけです。
公式も作ってみました。
ネームにかかる時間 = A分/枚 × 枚数、作画にかかる時間 = B分/枚 × 枚数、、、つまり、 各工程にかかる1枚あたりの作業時間平均をβ、工程を添え字xで現すとすると、作業時間の合計=(β1 + β2 + … + βx)×枚数
すごく簡単に計算できますし、慣れてくると平均値のブレも少なくなる。よって、スケジュールの見積もりもあまり大きくはずさない。最終的に、焦る頻度を最小限に抑えることができる。(理論上は)
わあ、ネームって素晴らしいですね! というところまで考えたんですけど、これこそが馬鹿の考え休むに似たりというやつで、なんでかというと、よく考えたら「そもそも作業効率を上げる目的で考案されたのがネーム」だからですね。なんか、私はずっと勘違いしていて、ネームが必要な理由を、「編集担当さんと意識合わせするため」だと思ってたのです。まあプロの場合はその理由が大きいと思いますけど、分業や作業効率化のために必要だからある、ってのがそもそもの理由だったんだな……。
つまり、ぐだぐだ描いたけど、ネームをきちんとやったほうが、理論的にも感情的にもすごく楽で、そしてそれはプロアマ関係なく当たり前のことであった、という、大変シンプルな結末にたどり着き、認識を改めることができました。私、アホやな。というか、ここまで十年近くモヤっとやってた論理性のなさ、反面教師として立派過ぎるやろ。
まあなんだかんだいって、同人誌なんぞというものは、個人が楽しんで描いて、楽しいと思ってもらえる層に頒布できたらそれでいいので、そんなムキになってキーって感じで描いたって面白くない。ゆるゆると好きなものを好きなように表現するのが多分一番で、私の場合はそれがストレス発散にもなるわけです。ただし、昼間は会社勤めなどしていて自由になる時間が限られているような場合は、一定の作業効率化を図らなければ、自分がつらい。せっかくストレス発散しているはずが、〆切怖い病になってしまう。ですから、こういう思考実験はまあまあこの先を考えれば有効であった、というのがまとめです。
なお、自分の場合作画時間の平均は、青鉛筆での下描きから鉛筆ペン入れまで1枚あたり40分くらいですね。40分×60枚は単純に考えて40時間かかる。これ、今から全力で1日4時間ずつやるとしても、10日かかる計算になり、仕上げもまあ1枚40分はかかりますし、仕上げだけ諸事情で8枚増えるので、結果的に全作業が終了するまで20日以上余裕でかかるということです。割引は諦めろということですか……。しかしネームなしで中途半端なストーリーを40枚描くよりは多分早くてクオリティもマシになるはずなんだ。(理論的には)
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村田雄介の「ヘタッピマンガ研究所R」に燃える!
ジャンプで「アイシールド21」の作画をしてる村田雄介が、漫画家志望の人たちを応援する短い漫画を描いてまして、それが「ヘタッピマンガ研究所R(リターンズ)」であります。今日はこれに触発されたという話。
で、こっから完全に前置きなんだけど、以前私は「二次創作を読んで感動したので評価基準のようなものを考察」っていうエントリを書きまして、まあそれ自体は非常にぐだぐだで痛々しいエントリなんだけども、その蛇足のところでこういう考えを述べました。
文章の個性って読書量と比例するというか、その人の身についた「書き方」はそれまで読み書きしたものの取捨選択の結果、と思うので、その取捨選択の仕方こそ個性であろう、というようなこと。
確かに知らないと出てこない表現はある
そのとき一番自分の気持ちにフィットしそうな表現というの、自然にわいてくるけど、ホントは自然にじゃなくてどこかで触れたから出てくる
だから本をたくさん読むと影響されて個性が失われる、なんてことはないな、むしろ逆だろうなんて
これは「文章を書く」という表現方法についておもに語ったつもりのものです。要はいろいろ読まなきゃ表現の取捨選択ができない、つまり幅が広がらない、というようなことを言いたかったのです。で、今週号の村田せんせいの「ヘタッピマンガ研究所R」を読んで、こっちは漫画の技術についてなんだけど、私の言いたかったようなことがよりシンプルにすごく分かりやすく書かれていて感動したので思わず引用するよ。こっから本論。
オリジナリティがないと言われるうちはインプットが足りない
やーもう村田せんせいの技術とアツイ努力についてはアイシ初期から尊敬してやまないところではあるんですが、これは至言だと思うわ、こういうシンプルさで言い切ってしまうのね、マジで神か! と一瞬思った。
村田てんてーが今週解説してるのは、「どうやったら人物の顔が魅力的に描けるようになるか」みたいな話なんだけど、結論として「好きなテイストの漫画を見て描け、模写しまくれ」ってアドバイスになるんですよ。「それって人まねになっちゃって個性がなくなるんじゃないですか」って反論も用意されてるわけだけど、そのまま発表したらマズいだけで、あくまでも練習法についてだって、そんで上の台詞に繋がるわけ。「たくさんインプットして、たくさん模写すると、自然と自分の好みの描き方を把握できるようになるし、描いたぶん技術は向上する」「想像だけでずっと描き続けてもうまくはならない」すごく納得できるし、そうすると自分がいかに努力不足か気づかされる。
ちょっと話それるけど、私が思う「うまい絵」「憧れる絵」には方向性があって、それって最終的には「自分が描きたい絵」の方向性なんだろうね。でもそれらを完全に模写すると、「自分の絵」なんてものがこの世から失われてしまう気が確かにしていた、けどそれは多分間違いで、そもそも「自分の絵」ですら単なる経験の集合体だからね、自分だけの世界で自分だけの絵を描いても上達はしない、それだったら好きな絵なり憧れの絵なりを模写をして「技術」を盗め、ということなんだと思います。個性は盗みたくとも盗めないものだし、盗まれるわけもないもの、自然とにじみ出てくるものだ、という。
「インプットも的を絞って、自分の絵に足りないと思われるところを探しながら模写するといい」みたいなアドバイスも出てきますが、そういうのは描き続けるうちに放っておいても身につきそうなポイントですね。要はインプット重要ってことで、そこが模写であっても構わない、という点、ここが今までよくあった「漫画教室」と違うんじゃないかな。って私、書籍だと「快描教室」くらいしか読んだことないのでもしかしたら他の人も書いてるかもしれんけど。
さて、ぐるっとまわって自分の言いたいことですが、村田てんてーのはあくまでも「漫画について」だったけど、私はこれ、どんな表現にも言えるんじゃないかなと思ってるところです。先に述べたように、文章についても勿論。漫画でも文章でも、セオリーってあって、起承転結とかね、てにをはとか、あるんだけど、それに固執するとか、あるいは個性を求めるあまり自分の中だけで完結させちゃうと、量は書けても上達しないんじゃないかな、と。
これを当たり前だと思ってる人も世の中にはいるんだろうな、すごいことだ。
私はそのへん全然で、というより、あまりにも自分の内側が不安定で片っ端から書きたくてたまらず書いてた時期などは、文法とかほんと酷いのね、それで全然上達もしなくて、情熱がなくなったらもうすっからかんですよ、一応「書きたい」というか「表現したい」みたいな欲求は残ってるんだけど、上達しないもんだから量が書けない、スカスカのシーン切り取り小説ばっか、インプットは自然としてたけどそれも「影響されるもんか」みたいな変な意地張ってたりもして、最悪の井戸の中ですよ。
影響なんてされまいとしてもされるときはされるし、そもそも個性は自分が思ってるよりずっと強いものとして根っこのとこにある、はず。いや私、それだけは自信あるしな、だってなんか変でしょ、私の表現は。これは意識してもしなくても出てくる業みたいなものですね。
ってまた話がちょっとそれ気味、今回のみならず毎回村田てんてーのマンガ研究所はためになるのでおすすめですよって話+αでお送りしました。気に入った回のは切り取って保存してるわー。二次創作しかやらないくせにね。つっても、たとえ二次創作でも、成長したいし、技術は向上させたいよね。私の場合、誰かに読んでもらいたいという欲求は勿論あるけど、自身との戦いみたいな部分も確かにある。
しかし文章だったらどういうのが漫画でいう模写にあたるかな、やっぱり文体模写? 雰囲気模写というのもあるかな、乙一の「小生物語(エッセイ)」の模写をずっとやりたいと思っています。私にはないラノベっぽいテイストだし分かりやすくて笑えていいなーと思うんですよ。逆に純文だったら三島由紀夫にも壮大に憧れるので、文体や雰囲気ではなく完全模写をやってみたいですね、いっそ手書きで。小川洋子も模写したいなー。町田康は文体模写っぽく二次創作を書いたとき思ったよりウケた。←ほら、これだよ、ここら辺に成長の糸口があったんだよきっと。(ただ町田康っぽい文体のは二作目が書ける気がしなかったです)
文体や雰囲気を模写しても、自分の目が物事をどう切り取るか、ってのはやっぱり個性だから、もうものすごく安心して模写しまくれば技術だけいい感じにうまくなるんじゃないかなーって気がしてきました。うむ、かなり勉強になったのと、意欲がわいてきた。
そんなわけで、村田先生ありがとう! ヒントと勇気をありがとう!!
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2008夏コミ原稿悲喜こもごも
あー結局また有給使って仕上げた……夏コミ原稿。仕事に影響出ないようにするのに今回はちょっと苦労したな。今ちょうどいいバランスで仕事があるので(ほんと一時は死ぬかと思うほどぬるかったけど)、振り分けたりいろいろした。なんか作業をこなしてく過程はパズルゲーム的で面白いんですよね。眠くならないし。どうにもこうでなくっちゃね。
なんて言いつつ、今回はけっこう追い詰められて、その原因は直接的にはやや長めの話を描いてたからなんだけど、スケジュールに関する反省と技術的な反省とあとゲイビデオとBLについてなどR指定雑じりで書いておくので以降適宜情報にフィルターをかけながらどうぞ。
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